戦後70年 改めて福祉をもう一度考えませんか?

戦争と権利としての福祉は両立しない

戦争と福祉をみんなで考える会呼びかけ人 浅井春夫

 戦争と権利としての福祉は両立しない!戦争は、戦争政策をすすめるための“福祉”(福死)と後始末としての“福祉”をつくり、すべての人々のしあわせをはぐくむ本来の福祉の役割を踏みにじることになります。その事実はこれまでの戦争の歴史においても、現代の戦争においても同様です。
 私たちは、いまの戦争推進政策、「戦争のできる国」づくりの現実に対して、政党政派を超えて、戦争と福祉について真摯に考えてみたいと思い、「戦争と福祉をみんなで考える会」を立ち上げました。
 わが国の第二次大戦後の歴史をみても、戦災孤児・浮浪児のための児童養護施設、戦争で夫を亡くした寡婦(かふ)と子どものための母子寮(現在の母子生活支援施設)、戦争で重傷を負った傷痍軍人のための身体障害者施設などによって、戦争犠牲者のためのケアと救済の制度として福祉は再出発をすることになりました。こうした戦争と福祉の負の歴史を再び繰り返すことがあってはならないと思います。
 福祉(ふくし)とは、「ふ」だんの「く」らしが「し」あわせであるための制度と実践の総称です。そうした福祉(welfare&well-being)の理念を実現するためには、いのちの尊厳が守られていることが前提です。福祉は、無差別平等の原則を土台にした具体的な権利保障としての福祉(welfare)と、各個人のしあわせと快適なくらしの状態としての福祉(well-being)の両方を内包しています。くらしの中に笑顔がある日常の営みを守り続けることが福祉の役割です。社会保障や社会福祉が後退している現実がありますが、「福祉」存立の前提条件を崩壊させるのが戦争です。
 私たちは権利としての福祉の使命を果たすことのできる国を求め続けます。戦争ができる国にすることには絶対に反対です。平和は力づくでは実現できないことは、イラク戦争やアフガニスタンの現実をみるだけでもわかります。「集団的自衛権」とは結局のところ「他国防衛権(義務)」のことです。
 私たちは再び戦争犠牲者を生み出してはならないと決意しています。私たちが大切にはぐくんできた子どもと人々のいのちを戦争のために奪われてはならない!福祉関係者、教育関係者、子どもや人間を大切にする実践に携わる私たちは、いのちの尊厳と福祉の発展を阻害する戦争推進政策を断固として拒否します。

 戦後70年の年に、戦後が戦後のままでありますようにとの願いを込めて